【ポルトガル語文法解説】直接法と接続法(詳細編) ~英語との比較~
概要編にて英語の仮定法は接続法の一種であることを説明しました。本記事では接続法について更なる深堀をしていきます。
ヨーロッパ系の言語は動詞の活用が多いということを聞いたことがある人も多いと思います。実はその辺りも「接続法」に起因しています。
「法」について
直接法と接続法についての詳細に入る前に「法」について簡単に触れておきたいと思います。
そもそも「法」とは?
これは簡単に言うと、「どういうつもりで話しているのか」という話すときのこちら側のスタンスのことを言います。具体的には「心の中で思っているのか」「実際に起きることとして話しているのか」ということです。
そして、前者を「接続法」、後者を「直接法」と呼びます。
「法」の区別の仕方
では、その「法」どのように区別するかというと、、、
動詞の活用で行います。
ポルトガル語に限った話ではありませんが、ヨーロッパ圏の言語は、直接法や接続法が動詞の活用として明確に区別されています。大学の第二外国語でヨーロッパ圏の言語を専攻された経験のある方はご存知かと思います。後述しますが、英語はこの辺りの垣根が曖昧になってきています。
「法」には時制がある
英語では、過去形、現在形、現在完了形等の時制があるのは学校で習ったと思います。また、上述したように、英語は直接法メインの言語でした。ということは、学校で習ったこれらの形は、全て「直接法の時制」ということです。
一方、ポルトガル語を始めとするヨーロッパ圏の言語は、直接法と接続法が明確に区別されているのでした。。。察しの良い方はもうお気付きだと思いますが、直接法だけでなく接続法にも時制が存在します。ということは、、、
動詞の活用が無数に存在するということです。
百聞は一見に如かずです。ポルトガル語には、-AR動詞、-ER動詞、-IR動詞という3つの規則動詞が存在します(原形が-○○で終わる動詞という意味)。それぞれの「法」に対する時制の動詞活用をまとめると下図のようになります。解像度が低くてすみません(リストはこちらで公開しています)。
ヨーロッパ圏の言語は文法が難しく動詞の活用が覚えきれないという話を聞いたことがある方もいると思いますが、上図を見て頂ければ一目瞭然です。もちろん、規則動詞だけでなく、不規則動詞も多数存在します。
英語はなぜ簡略化された?
ポルトガル語とは直接の関係がありませんが、最後に英語について簡単に補足しておきます。ちゃんとした文献を調べたわけではないので間違っているかもしれませんが、管理人は次のように考えています。
英語にも直接法や接続法という明確な区別がもともとは存在していた。ただ、言語の発達過程において、その境界が次第に曖昧となり、接続法が直接法に吸収されていった。結果、英語は直接法メインの言語となり、接続法の一部である命令形や仮定法がその名残を残しつつ現代英語でも使われている。
上述したように、直接法や接続法が明確に区別されている言語では動詞の活用が異なります。接続法が直接法に吸収されるということは、動詞の活用が減って簡略化できるという見方ができます。
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